春雨ふりて百穀を生化すればなり
こよみ便覧より
春季の最後の節気。穀物をうるおし、芽を出させる春の恵みの雨の頃。晴れたり雨が降ったりと不安定だった気候もそろそろ落ち着いてくる時期と云われています。
「穀雨の七十二候」
初候 葭始生〔あしはじめてしょうず〕
4月19日頃
初候 葭始生〔あしはじめてしょうず〕
4月19日頃
神話では豊葦原の瑞穂の国と日本を讃えるほど、葭(葦・芦)が豊富に育ち、茅葺き屋根、すだれや葦簀(よしず)、和紙などの材料に使われ、日常に密着した植物です。読み方は「アシ」ですが、悪しになるのを回避するように「ヨシ」と読むこともあります。
次候 霜止出苗〔しもやんでなえいづる〕
4月25日頃
次候 霜止出苗〔しもやんでなえいづる〕
4月25日頃
霜降(10月23日頃)からようやく霜が発生しなくなる頃になりました。農作物は地面が凍る霜に弱いため、最低気温が5℃を下回る日の注意と対策が必要です。水稲はこの頃苗の集まり「苗代」を育てます。田んぼは田起こしに大忙しになります。
末候 牡丹華〔ぼたんはなさく〕
4月30日頃
末候 牡丹華〔ぼたんはなさく〕
4月30日頃
牡丹は大輪の花が咲き、その絢爛さから、古より障壁画や、陶磁器、振袖など様々な意匠として描かれました。手ぬぐいは東本願寺蔵の望月玉泉作『唐獅子牡丹図』を忠実に再現しました。
行く春を惜しみつつ、夏へと季節が移ります。
「季節のおすすめ」
Season
八十八夜
〜夏も近づく八十八夜〜と『茶摘み』のメロディが浮かんできます。八十八夜とは「二十四節気」を補完する日本の農作業に合わせて生まれた「雑節」の1つで、立春を1日目と数えて88日目です。八十八夜の別れ霜といい、気温が安定してきます。この日に摘んだお茶の新芽を一番茶といい、甘み・栄養価がいいとされています。
Event
端午の節句
5月5日は端午の節句。端午とは端(はじめの)午(うまの日)でした。奈良時代「菖蒲のかずら」という薬玉を贈る習慣だった端午の節句は、鎌倉時代に武家政権になると「菖蒲」は「尚武」になっていきます。5月5日に藤森神社・駈馬神事、上賀茂神社・賀茂競馬など、馬の競べがあります。
Event
こいのぼり
江戸時代、武家で男の子が生まれると端午の節句に幟旗を立てて祝っていました。中国の故事、登竜門から立身出世を願って鯉を象った幟にしたところ、こいのぼりが広がり、次第に大型化していきました。はじめのうちは、真鯉(黒い鯉)一匹のみだったこいのぼりは、明治には緋鯉(赤い鯉)が、昭和30年代には小さい青鯉が、現代では兄弟姉妹の緑鯉や紫鯉も見られます。
Flower
菖蒲=尚武=しょうぶ
刀のような葉で端午の節句ゆかりの花、花菖蒲(ハナショウブ)。文目(アヤメ)、杜若(カキツバタ)もそっくりです。見分け方は外側の花びらの根元で、花菖蒲は黄色、文目は網目、杜若は白い筋になっています。菖蒲(ショウブ)という花がありますが、ほぼ花に見えないことから一般的に花菖蒲をショウブと呼び、漢字で文目も菖蒲とも書くのでさらに混乱に拍車がかかります。
Vegetable
えんどう豆
エンドウは気温が低くなる秋にタネを播き、寒さに強い幼苗で冬を越し、この頃に収穫時期を迎えます。若芽の「豆苗」、さやを味わう「さやえんどう」「絹さや」、さやと実どちらも食べられる「スナップえんどう」、実のみを食べる「グリーンピース」。
成長につれて名前が変わるなんて出世魚ならぬ出世豆ですね。
CAST
葭始生
霜止出苗
牡丹華
Season
Event
Flower
Vegetable