芒ある穀るい稼種する時なればなり
こよみ便覧より
「芒(のぎ)」はイネ科の植物の先にある棘状の突起のことで昔は「米や麦」などの蒔き時ともいわれていました。そろそろ梅雨入り、緑も潤います。
「芒種の七十二候」
初候 螳螂生〔かまきりしょうず〕
6月5日頃
初候 螳螂生〔かまきりしょうず〕
6月5日頃
6月4日は虫の日。秋に産みつけられた卵嚢からカマキリの赤ちゃんが生まれてきます。カマキリは虫を捕食するため農業では益虫です。祇園祭の「蟷螂山(とうろうやま)」は、御所車の屋根の上の蟷螂が羽を広げたりする「からくり」が山鉾の中で唯一施されています。からくりの蟷螂おみくじも大人気です。
次候 腐草為蛍〔くされたるくさほたるとなる〕
6月10日頃
次候 腐草為蛍〔くされたるくさほたるとなる〕
6月10日頃
昔の人は朽ちた草が蛍になると信じていたそう。代表的なゲンジボタル、ヘイケボタルは水生ホタルで、静かで清らかな小川に生息しています。枕草子「夏は夜。月のころはさらなり。やみもなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。」蛍火飛び交う静寂な夜に思いを馳せます。
末候 梅子黄〔うめのみきばむ〕
6月16日頃
末候 梅子黄〔うめのみきばむ〕
6月16日頃
梅の実が黄色く色付く頃となりました。梅の木は漢方薬の烏梅として中国から日本に伝えられたと考えられています。
南高梅で有名な和歌山県では、梅酒に使う青梅は6月初旬頃、梅干しに向いている黄色く熟した梅は6月下旬頃に収穫されます。梅の実は生で食べると中毒を起こすと言われています。
「季節のおすすめ」
Landscape
京都盆地
夏は暑くて冬は寒い。京都市の気候を表現した言葉です。三方(東・北・西)を山に囲まれ、夏は「京都の油照り」フェーン現象が起こりやすく湿度が高め、冬は「京の底冷え」山から吹き降ろす風と地面が凍てつきます。春秋は過ごしやすい気候となります。水に恵まれ、河川は加茂川(鴨川)、桂川、宇治川、木津川など、地下水が豊富で、近代以前は井戸を掘ればこんこんと湧き水がでてきました。豆腐・湯葉・生麩・酒は良質な水が存在してこそ生まれた食文化です。
Event
父の日
6月第3日曜日。父の日はよく忘れられがちなどと言われますが、日頃の感謝を伝える絶好の機会です。母の日と同じく発祥はアメリカです。日本では日本ファーザーズ・デイ委員会が展開する「イエローリボンキャンペーン」の影響で、黄色のバラを贈るのが一般的です。ひまわりを贈るのも人気で、花言葉は「憧れ」などお父さんにぴったりです。
Animal
蝸牛
体を湿らせていないと生きていけないカタツムリは、梅雨時期になると活動的になります。螺旋状の巻貝を背負う姿が愛らしく子どもたちの人気者です。「でんでん虫」という別名は「殻から出てこい、出よ出よ」マイマイの由来は「巻き巻き」が変化したとか。ただし、カタツムリは寄生虫の中間宿主になる場合があり、素手でさわると危険です。ご注意を。
Flower
紫陽花
梅雨を彩る花、紫陽花。雨の日が多いなと思っていたら、満開の紫陽花と出会います。庭木で見かける手鞠状のホンアジサイは、日本原種のガクアジサイが西洋に渡り、品種改良を経て逆輸入されてきました。花びらに見えているのは実を結ばない装飾花で、花は装飾花の中心にある小さな粒の部分です。花の色は土が酸性なら青色に、アルカリ性ならピンクに変わります。
Fruit
さくらんぼ
明治初期、桜桃が北海道に伝えられ、全国各地で試験栽培が行われましたが栽培が難しく北海道や東北で発展しました。当初、傷みやすいため砂糖漬けやシロップ漬けにされて流通していました。そのままのおいしいサクランボを全国に届けたいと固いナポレオンと甘い黄玉を交配、改良を重ね、輸送に耐えて生食できる佐藤錦が誕生しました。今では収穫量日本一は山形県の佐藤錦。赤く大きい果実は果物のルビーと呼ばれます。
CAST
螳螂生
腐草為蛍
梅子黄
Landscape
Event
Animal
Vegetable
Flower