陽気地上にはっし、 雪氷とけて雨水となればなり
こよみ便覧より
梅雨の暦と間違われそうですが雪や氷が溶けて山や田畑を潤し、ゆっくり芽吹いてくる頃とされる春の二つ目の節気。とは言えまだまだ雪も降り三寒四温を繰り返しながら春に向かっていく寒さの峠あたり。徐々に峠を越え春が広がります。
「雨水の七十二候」
初候 土脉潤起〔つちのしょううるおいおこる〕2月19日頃
初候 土脉潤起〔つちのしょううるおいおこる〕
2月19日頃
降る雪が雨に変わり、凍てついた大地に雪解け水が浸み込み、土を潤します。春の節気とは言え寒い日が続きますが、ひと雨ごとに季節がすすみ着実にあたたかくなっているようです。この頃の雨は「木の芽起こし」といい植物の芽吹きを促します。
次候 霞始靆〔かすみはじめてたなびく〕2月24日頃
次候 霞始靆〔かすみはじめてたなびく〕
2月24日頃
霧(きり)などで遠くがかすんで見える幻想的な景色を霞(かすみ)と呼びますが、意外にも霞(かすみ)は気象学の用語ではありません。しかし万葉集では春の訪れや、恋に悩む心情として詠まれ、源氏物語などの絵巻物や和装の柄では「すやり霞・エ霞文様」で、奥行きや場面の区切りとして雅やかに演出されています。霞は風流な表現なのですね。
末候 草木萌動〔そうもくめばえいずる〕3月1日頃
末候 草木萌動〔そうもくめばえいずる〕
3月1日頃
新しい命が芽吹く候になりました。殺風景だった道端に、いつのまにか緑色の草を伸ばしています。樹木たちも芽がふくらみ、開花の準備をしています。萌動(めばえいずる)という言葉に蓄えていた力を存分に発揮するゾ!という躍動が伝わり命の逞しさを感じます。
「季節のおすすめ」
Event
桃の節句・雛祭り
「桃の節句」は「五節句」のひとつの「上巳の節句」で、穢れを祓い女の子の健やかな成長を祈る行事です。旧暦の3月3日頃に桃の花が咲くことから「桃の節句」と呼ぶようになりました。雛人形を飾り、菱餅・白酒(桃花酒)・はまぐり・ちらし寿しをいただいてお祝いします。
Culture
雛人形
立春ごろから3月3日まで飾ります。前日に人形を出して飾るのは「一夜飾り」といって良くないとされています。お内裏様とお雛様の配置は京雛と関東雛では逆になり京雛はお内裏様が向かって右にお座りになります。ひな祭りが終わると3月中旬を目処に、湿気の少ない日に片付けます。
Vegetable
菜の花
食用の菜の花(菜花)は2月〜3月が旬で、春を感じさせる野菜の一つです。花が開いてしまうと苦味が増すので蕾のうちにいただきます。ほろ苦さと甘味のバランスがよく、ひな祭りで食べるちらし寿しの彩に、和えもの、炒めても揚げても汁物にもおいしくいただけます。「花菜」は京野菜として知られています。
Design
蛤
二枚貝のハマグリは、対のものとしかぴったりと合わないため、良縁に恵まれますようにと、ひな祭りのお祝いの食卓に並びます。
平安時代、高貴な女性の間で流行した貝合わせという神経衰弱に似た遊びでは、大ハマグリに美しい蒔絵が描かれました。
Flower
沈丁花
三大香木の一つで、香りの強い花が咲きます。春は沈丁花(ジンチョウゲ)、夏は梔子(クチナシ)、秋は金木犀(キンモクセイ)と、開花の時期が違うことから、よい匂いが漂ってくると季節の訪れを告げてくれます。中でも樹高1mほどの小柄な沈丁花は、香りがすれども姿が見えないことも。
CAST
土脉潤起
霞始靆
草木萌動
Event
Culture
Vegetable
Design
Flower