暑気いたりつまりたる時節なればな里
こよみ便覧より
辞書によると、「一年のうちで最も暑い時期」。「小暑」と「大暑」を合わせた約1ヶ月間が「暑」の期間「暑中」となります。過ぎれば「残暑」。
「大暑の七十二候」
初候 桐始結花〔きりはじめてはなをむすぶ〕
7月22日頃
初候 桐始結花〔きりはじめてはなをむすぶ〕
7月22日頃
桐の花が咲き終わり、実を結ぶ頃。桐は伝統的に神聖な木とされ、家紋や紋章の意匠として使われています。木材としても名高い桐は多湿の日本によく合った素材で、多孔質な構造による調湿効果、タンニンを多く含むことによる防虫効果があり、箏や、箪笥、下駄などに利用されます。舞妓さんのおこぼ(こっぽり)も桐製です。ちなみにバットは硬いタモ系の木材がよく使われているそうです。
次候 土潤溽暑〔つちうるおうてむしあつし〕
7月28日頃
次候 土潤溽暑〔つちうるおうてむしあつし〕
7月28日頃
暑気が土中の水分を蒸発させて、まとわりつくような暑さを感じます。昔から打ち水をしたり、盥に水を張り金魚を泳がせるなど工夫して涼をとり入れてきました。最近は熱中症予防のためエアコン・扇風機を上手に使用します。夏真っ盛り、水遊びが楽しい季節です。
末候 大雨時行〔たいうときどきにふる〕
8月2日頃
末候 大雨時行〔たいうときどきにふる〕
8月2日頃
澄み渡った青空にムクムクと発達する入道雲が、雨を一気に激しく降らせます。夕立です。急に降りだす夕立は、地上の熱が上昇気流となり上空の冷たい空気とぶつかり積乱雲を作ります。積乱雲が発達すると地面に向かって雨粒で落ちてきます。雨により下降気流が発生し、雲が消えます。
この七十二候が終われば暦の上では立秋、夏も終わりです。
「季節のおすすめ」
Event
花火
夏の風物詩、花火。日本最古の記録は、室町時代の公家 万里小路時房の日記『建内記』に記されています。江戸時代、徳川発祥の三河地方が、火薬を許可されていたため発達しました。「たまや〜」「かぎや〜」と呼ばれるのは江戸時代に名を馳せた花火師の屋号で、お稲荷さんの狐が玉と鍵を咥えていることから『鍵屋』『玉屋』と屋号をつけたそうです。
Greeting
八朔( はっさく)
8月1日「八月朔日(さくじつ)」は、「田の実(稲の穂)の節」ともいい、農家の方々が「頼み」とかけてお世話になっている方にお礼や贈り物をしていました。京都の花街ではその風習がいまも受け継がれ、舞妓さんが日頃お世話になっているお師匠さんやお茶屋さんなどにあいさつ回りをされます。絽の黒紋付、髪型は奴島田という正装姿で「おめでとうさんどす。どうぞ相変わりませずおたの申します」猛暑もなんのその、涼やかに努められます。
Craft
風鈴
夏の暑い日、軒下の風鈴の涼しげな音色がします。
元はお寺の「風鐸」魔除けとして吊るされていました。小型化したものを「風鈴(ふうれい)」と名付けたのは法然上人。「極楽の七重宝樹の風のひびきをこひ、八功徳池のなみのをとをおもひて、風鈴を愛して」(国宝『法然上人行状絵図』)
法然の弟子が持ち歩き、人びとに広く普及しました。
Vegetable
賀茂なす
直径15cmにもなる大型の丸茄子で、京の伝統野菜を代表する野菜といえます。深みのある黒紫色、艶があり丸いフォルムが美しい姿はナスの女王と呼ばれます。栽培は手間をかけないと割れたり、大きくならなかったりととてもデリケート。肉質が緻密で油の吸収が少なく煮くずれしにくいことから田楽や煮物に最適です。7月〜9月が旬。別名、大芹川茄子。
Sweets
みたらし団子
京都・下鴨神社の御手洗祭(みたらしさい)で氏子が作っていたのが起源といわれているみたらし団子。御手洗池の気泡を模して、5つのお団子を1串、1つ目と2つ目のお団子の間がやや開いています。御手洗池は葵祭で斎王代御禊(さいおうだいぎょけい)の儀が行われる清らかな池。池の水は御手洗川、奈良の小川、瀬見の小川と流れ、糺の森を潤している。
御手洗祭:毎年、土用の丑の日の前後、2022年は7月22日(金)~7月31日(日)。
CAST
桐始結花
土潤溽暑
大雨時行
Event
Greeting
Craft
Vegetable
Sweets